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<1>今日、ミウラ折りと呼ばれて

<1> 今日、ミウラ折りと呼ばれている折り紙は、基本の折りの繰り返しで構成されるから、かなり昔から知られていたにちがいない。著者の記憶には、「影ひだ折り」と言う名前を何かの本で見たことがある。1970年になって、それが物理的に特別の意味がある「自然のかたち」であることがわかり、またその「展開のメカニズム」を使った地図への応用、そして「宇宙の構造物」として構想を提案した。この一連の活動は、ある意味でこのかたちの「再発見」であることから、ミウラ折りと呼ばれることが多くなった。因みに、私が初めにつけた科学的名称は、「二重波型可展構造」であり、誰一人覚えてくれなかった。ミウラ折りという凹多面体面は、それを見る視点により、最も単純な折り紙、タイル貼り、無限凹多面体、自然な折り紙、展開構造物、芸術作品と変わる(F-1)。しかし、何と言っても、これは生まれつきの折り紙である。

<1>The concave polyhedral surface,which is now known as Miura-ori,first appeared in a scientific paper of the shell structures society(Miura,1970).Since then,its unique geometric feature has been the primary interest of people.Miura-ori or its surface,depending on a viewpoint,shows us various aspects such as:the simplest origami,an unchanged by inversion,a symmetry-rich tessellation(tiling),an infinite concave polyhedron,a wrinkle,a deployable structure,and an artpiece. Among them,Miura-ori is a born origami(F-1).
This surface was intially called the developable double aorrugation(DDC)surface.The nickname becomes popular after its application to map design was introduced in British Origami(BOS, 1981).

<2>1970年のころ、非常に奇妙な

<2> 1970年のころ、非常に奇妙な問題のことで、私の頭の中は、それに関する図や式が乱雑にかさなりあっていた。すこしばかり、整理されたころで現れた図形は、無限に大きな、完全に平らで限りなく薄い板を、四方から潰す様子であった。言うまでもなく、無限に大きい物は、頭の中に描くことはたやすいが、紙の上に描けるわけはない。強いて描けば、F2のようになるだろう。四方からでなくて、たとえば左右からだったら、波のようなかたちが答えであることは、誰でもわかる。しかし、左右と、上下(紙面内)から同時に潰したとなると、誰も答えられないだろう。「一体、そんな問題を解いて何になるのか?」と問われたし、結局解いた後もそう言われたものである。その問いにたいする答えは、そこに何かがありそうに、ぼやーっと感じたから、としか言えない。

<2>In 1970,the present author proposed a problem schematically represented by F-2.The problem is to obtain the deformation of a perfectly flat,infinte,slastic plate subject to uniform terminal compression or shortening. Necessarily,the plate should be infinitesimally thin due to its infinite dimension. The problem seems to be absurd on the surface,but it is really deep in essence.

<3>問題にあたってみると

<3> 問題にあたってみると、これは考えたよりもはるかに難しかった。このような力学的問題を解くためにとる最初の手段は、実験を行なうことである。ところが、実験はまったくの失敗だった。かなり精密な装置を使って、実験を繰り返しても、手がかりになるような、特異なかたちや規則的配列が全くあらわれなかった。その原因は、世の中に絶対に平らで、限りなく薄くて大きい板など存在しないからだろう。F3は、そういう実験の一例であって、なにやらでこぼこの、不規則な折り目が乱雑に現れているにすぎない。唯一明らかになった事実は、答えは折りと平面の構成であること、一言でいえば、ある種の折り紙であるらしいことだ。

<3>To solve the problem was much more difficult than our expectation. Experimental approach analogous to that used for thin cylinders did not work in the case of plates(F-3).
One of the reasons is that to provide a perfect flat plate is much more difficult than a perfect circular cylinder.

<4>解析も、そう簡単なものでは

<4> 解析も、そう簡単なものではなかった。手段は、カルマン・チェン・レジェットの方程式を、無限の領域で解くこととした。少しづつ押しつぶしていくと、はじめにF4のような規則的な変形が現れる。これはその変形の部分を、上から眺めた等高線図で示したものである。等高線の数字0から10は、高さを示している。それは、饅頭のような高みと、その反対の凹みが、基盤上に並んでいるような風景である。

<4>In 1978,we had attacked the problem with the analytical method similar to von Karman-Tsien-Legget procedure used for the post-buckling analysis of axially loaded cylindrical shells(Tanizawa and Miura,1978).
Some of the results are shown in the following figures. Because we assumed infinity of a plate,only the periodic solutions are expected.F-4〜7 show the deflection of the plate for the fundamental unit(or the equivalent area)in normalized contour map format.
Repeating of each figure in x and y axis,one can construct a wider image of deflections.F-4 shows the deflection occurred at the initial buckling.It is type of pattern 'hills and craters'expressed as the product of sinusoidal functions.

<5>さらに押し潰しを進めると

<5> さらに押し潰しを進めると、様子が急に変わってきて、かなりめちゃくちゃな、実験で見たような変形が現れる(F5〜7)。その中には、多少の周期性のある変形が見られる(F7)。この群の変形の特徴は、折りが支配していることをしめしている。このような多数の変形のなかで、何がもっとも自然らしいかたちか、をあぶりだす方法は、その歪エネルギーくらべることである。そういう視点で、変形をみると、F7のような変形の歪エネルギ・レベル(E)は桁違いに小さい。この変形は、シグザグの山脈とそれに沿った谷で構成されるかたちである。

<5>Increasing the shortening or decreasing thickness,the deflection changes into quite different patterns as shown in F-5〜7.These solutions are obtained for the same end-shortening and thickness value. As a matter of fact,due to the method of computation,there are infinite numbers of solutions. The quantity that distinguishes among these solutions is the total strain energy.The normalized energy level E of each solution is shown in the caption. Inspecting of the energy level,one can easily identify the type of deflection pattern that gives lower stain energy. We found that those configurations expressed by 'herringbone'pattern exhibit lower strain energy without exception.

<6>こうして、われわれは、

<6> こうして、われわれは、だんだんと答えに近づいていった。さらに精度を高めた計算を行なった結果は、上記の山と谷の線が、非常にシャープのものとなった(F8)。また、その歪エネルギも最小であった。この形を言葉で表現すると、シャープなジグザグの山と谷の線が並行しており、またその斜面が、等高線が直線で間隔が一定であることから、平面で示したものであることがわかる。矢印の方向は曲げ応力最大・最小の方向、長さは曲げ応力の大きさを示している。最大の曲げ応力が、F8の山や谷線に直角の方向にあることがわかる。これはつまり山と谷の線で、板がシャープに折り曲げられているからである。

<6>Among them the pattern F-8 gives the least strain energy.Obviously,it resembles to the configuration for the surface shown in F-1.The additional important information is available from F-9,which shows the distribution of bending stress for the case of F-8. We can observe that the bending stress is concentrated in mountain ridge and valley lines.

<7>これまでは、部分の画しか

<7> これまでは、部分の画しかみてこなかったが、少し全体像を見るために、F8の部分を4個つないだものがF10である。またそれに対応する正確な紙のモデルを作ることが出来る。はじめに出た図のF-1がその類である。この紙のモデルが作れるということは、とても重要なことなのだ。紙という素材は、曲げたり、折ったりすることは出来るが、殆ど伸びたり縮んだりしない。これは、答えとなりこの板の変形が、折りだけで出来ていることなのだ。板を左右から縮めると、波板のような滑らかな変形が現れる。それが、自然が選んだかたちなのである。このことから、ミウラ折りは、二次元のエラスチカかという議論が起こる。(Miura 1997)

<7>The integration of four units of F-8 gives us a better view of the resulting pattern(F-10).It should be noted that the above computation is based on the equation valid only for a finite deformation range.Therefore,the pattern shown in F-10 is not as large as that of 3-D image of F-1.It is fortunate for the result that the model of that pattern satisfies the rules of rigid origami.Therefore,the result of computation and the origami are connected seamlessly up to the limit.Conclusively,the hypothetical problem was proved analytically.

<8>前記のように、この研究は

<8> 前記のように、この研究は微分方程式を解くことによって行なわれた。実のところ、一つの折り紙モデルが、このミウラ折りの発見に重要な役割を果たしたのである。F11は、約40年前に作ったそのモデルのレプリカである。モデルの左側のゾーンは、コーク缶などを軸方向に潰したときに現れる、ダイアモンド・パターンを示している。このゾーンの巨視的曲率は正(凸)なので、これを+吉村パターンと呼ぶことにする。一方右側のゾーンは、缶の内側から見たパターンで、すべての折り目は当然逆転している。巨視的曲率は、負(凹)だから、−吉村パターンと呼ぶことにする。
さて、このモデルをさらに軸方向に潰すとどうなるだろうか。面白いことに、モデルはくるくると巻き込まれる。言い換えると、モデルは軸方向にも、横方向にも縮むのである。このモデルのトリックは、+吉村パターンと−吉村パターンが継ぎ目なしに繋がっていて、その繋ぎ目のゾーンに平行四辺形のアレーが形成されることにある。単純な理論で、このゾーンに巨視的曲率は、+と−の間だから0でなくてはならない。従って、0の曲率、つまり平板を四方から潰した解は、この平行四辺形のアレーで構成される筈と、予見したのである。実際、大量の数値計算は、この目標があればこそ可能であった。

<8>As described above,the research was carried out by solving the differential equation. In fact,an original model played a major role on the discovery of Miura-ori.A place of original model shown in F-11 is a replica which I had made almost 40 years before. The left side zone of the model indicates the diamond pattern typically observed in axially crushed beverrage cans. Here shall we call it "+Yoshimura -pattern"since the global curvature of the zone is positive(convex).On the other hand,the right side zone of the model is the inner view of the can,where every fold is reversed from the outside view.We shall call it"-Yoshimura-pattern".
Now,let's push the model furthermore in the axial direction.An interesting phenomenon is that,the model colled itself up.It means that the model shrinks in the lateral as well as axial direction.In other words,the model is biaxially shortened.The trick of the construction of the model is that zones of "+" and"-"Yoshimura-patterns are seamlessly joined with the array of parallelograms.
Logically,the curvature of this intermediate zone must be "0" because it is bracketed with + and - zones.Therefore the solution of bi-axial shortening of "0" curvature(plate)must consist of arrays of allelograms.

<9>ミウラ折りの最もユニークな

<9> ミウラ折りの最もユニークな特徴は、折りを回転関節とするその展開(収納)特性にある。その基本をあげるとすると次の三つであろう。
  1、展開のユニットは、4個の等しい平行四辺形平板じゃら構成され、各ユニットはすべて等しく、またその動きもいたるところすべて等しい。従って、展開のすべての過程を通じ、常にタイル張り(tessellation)である。
  2、二次元方向に同期して、それぞれ一様に展開する。これに比して直交折りの場合は、縦と横の展開が順次行なわれる。
  3、展開の初めの形状は平面であり、展開の尾張の形状も前者と直交する平面である。F-12は、多数のユニットの展開状況を示す。(Tachi,2006)

<9> The most unique behavior of Miura-ori is its deployable property.F-12 shows a simulation of deployment and refraction of Miura-ori.Its primary features are :it is deployed simultaneously in orthogonal directions and homogeneous in each direction;it is a single degree of freedom of motion.

<10>この独特の展開特性を示すため

<10> この独特の展開特性を示すために、もっとも役立ったのは、折り畳み地図への応用であった。最初の地図は、日本オリベッティ社の援助により、SPAZIOの付録として、陣内秀信・渡辺真理両氏の「”広場”とは何か」のヴェネツィアの地図が制作された(F-13)。展開地図のことは、同じ号の「地図を折る楽しみ」に著者の解説がある。この折の制作は、神戸製作所の鈴木健一氏の労作による「折り紙マシーン」で行なわれた。

<10> To demonstrate the deployable property of Miura-ori,it was applied to a foldable map.F-13 shows the"Map of Venezia"published as an appendix for SPAZIO magazine(Miura,1978). To deploy a map folded,pull the map at both ends of the diagonal of the rectangle.This will give an equal and simultaneous deformation to all units along the diagonal and those in their neighborhood cover the main part of the map,the desired deformation can be propagated,without delay,to most part of the map.Same thing holds for the case of folding process.

<11>この折り畳み地図の制作に

<11> この折り畳み地図の制作によって、ミウラ折り独特の展開特性を、誰でも容易に理解できるようになった。その影響は、折り紙と地図の分野、そして工学の世界にも広がることになった。近未来の宇宙のミッションでは、超軽量で超巨大な膜構造を必要とするものが多く提案されている。1980年の国際宇宙航行会議で著者は、「宇宙での巨大膜面の展開方法」を提案した(Miura,1980)。実際にミウラ折りの宇宙利用の最初の機会は、日本が計画した小型宇宙プラットフォーム(Space Flyer Unit)であった(Miura and Natori,1985)。我々は、二次元展開ソーラー・アレーの実験を提案し、それは1995年に実現し、成功を収めた。F-14は、ミウラ折りソーラー・アレーを展開した宇宙プラネットフォームのイラストである。これはまだ比較的小さいものであったが、今後、桁違いに大きい膜構造、たとえばソーラー・セイルなどで、はじめてその真価が発揮されることと思われる。

<11> A number of future space missions will require ultra-low-mass,large membrane structures.Thus,packaging and deployment of membrane structures will become more and more important. Many of its deployable properties of Miura-ori seemed to be favorable for such application.In 1980,the author aroposed a paper entitled "Method of packaging and deployment of large membrane structures in space"(Miura,1980).The first opportunity to test the applicability of Miura-ori in space came when Japan planned the Space Flyer Unit,a space platform,In eighties.The 2-D array system and experiment mission,which deploy 2-dimensionally deployable solar array,was proposed subsequently(Miura,Natori,1985).The ezperiment mission was carried out successively in 1995.F-14 shows an illustration of the solar cell array in deployed state.

<12>すでに述べたように

<12> すでに述べたように、ミウラ折りは、自然に形成される折り紙である。その生成には、最小エネルギの法則が関与している。また最も単純な折り紙であるし、もっとも基本的な展開構造でもある。こういった特性が、自然界で使われていることは、十分に考えられる。小林等(Kobayashi 1998)は、植物の葉の展開について、ミウラ折りの基本構造を用いたモデルを構築し、シミュレーションなどの研究を行なった(F15)。自然は、葉の展開のエンジンに、ミウラ折りの機構を使っているのかもしれない。

<12>We have already known that Miura-ori surface is a kind of natural solution obtained by an optimization proccedure(Miura,1997).Therefore it is no wonder that by recent studies,some relations of this surface to deployable mechanism of tree leaves are studied.Kobayashi et al(1998)carried out the simulation of deploying leaves using the corrugated model,which is the fundamental structure of Miura-ori,as shown in F-15.

<13>前に述べたように、

<13> 前に述べたように、ミウラ折りの実験による証明は、非常に困難であり、著者らはこれを放棄して、解析的方法に戦術を変更した経緯は前に述べた。最近になって、ハーバード大学のMahadevan and Rica(2005)は、実験的にミウラ折りの生成に成功した。その方法は、ニ軸に圧縮される厚い弾性層の上の薄いフィルムを重ね、ミウラ折りのパターンを生成することであった。彼らは、乾燥するゼラチンの上の皮膜によって、これを実験した。これによって、ミウラ折りは、実験的にも証明された。

<13> Mahadevan and Rice(2005)have solved experimentally the ploblem imposed on F-2.They produced zigzag Miura-ori pattern in a thin film atop a thick elastic substrate that is compressed bi-axially manifest in a drying slab of gelatin with a thin skin that forms naturally.
Their analytical study also supports the previous study by Tanizawa and Miura(1978).